結婚したものの何かのきっかけで離婚して別々の道を歩むことになるカップルが増えています。

さらに生まれ育った国も文化も全く違う者同士の国際結婚だと、一緒に生活していく中で価値観の違いで衝突しうまくいかなくなることもよくあります。

実際に国際結婚のカップルの離婚率は日本人同士の夫婦より高かったりもします。

国際結婚でも日本で先に婚姻が成立して日本に住んでいる場合、手続きは日本人同士の離婚とさほどかわりません。

でも外国で結婚してその国に住んでいる場合は、その国の手続きに従って離婚することになります。

スペイン人と結婚しスペインで暮らしている日本人の方で離婚したいと考えている方は、スペインでの離婚手続きについて知ったうえで準備をしていく必要があります。

ポイント

そこでここではスペイン人と離婚しようかと考え始めたという人のために、スペインでの離婚の大まかな流れを説明していきたいと思います。



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スペインの離婚手続き

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日本だと離婚は夫婦間で条件などで合意できれば離婚届を提出するだけでできますが、実はこれは世界でも少数派です。

スペインでは離婚する場合弁護士を立てて裁判する必要があります。

夫婦間である程度親権や養育費などの条件について合意ができている場合は数か月で離婚が成立します。

また一方で離婚する条件で全く折り合いがつかない場合は、各条件について裁判官の判断を仰ぐ形になるので離婚までに数年かかることがあります。

国際離婚に詳しい弁護士さんを見つけ、条件についてしっかり理解できるよう十分に説明を受けたうえで一歩一歩進めていってくださいね。

裁判をするとき『夫婦2人で同じ弁護士を立てる』時と、『夫婦別々に違う弁護士を立てる』場合があるのでこの2つを別々に見ていきたいと思います。

夫婦で同じ弁護士を立てる場合

まず夫婦で同じ弁護士を立てる場合は、離婚することや親権や共有財産の分け方について夫婦間である程度話し合いができる場合です。

夫婦で一緒に弁護士からアドバイスを受けながら条件について決めていき、それを裁判所に提出して裁判官に判断してもらいます。

親権や養育費などについて一般の平均ではなく夫婦の合意に基づく条件が考慮されるので、日本の協議離婚のような感覚に近いと思います。

子供がいなく共有財産も少ないというあまり争点のない離婚のケースでは、下記のような離婚手続き専門サービスを利用することもできます。

http://www.divorcioexpress.com/

このような条件に合意ができているケースでは、本人が裁判所に足を運ぶ回数は1,2回で数か月で離婚が成立することが多いようです。

夫婦別々に弁護士を立てる場合

夫婦で別々に弁護士を立てて裁判をするのは、離婚の条件やそもそも離婚するかどうかについて夫婦間で合意できていない場合が多いです。

この場合夫婦各自が自分の言い分を裁判官に訴え、それをもとに最終的に裁判官が親権や養育費それに共有財産の分割まで判断します。

長期化する場合も多く、かなりの覚悟をもって交渉に挑む必要があります。

どうやって弁護士を探せば良いか?

どんな原因があっても外国で自分の母国語ではない言葉で弁護士と離婚の条件について話し合ったり、裁判に挑んだりするのは日本で離婚する以上に大変だと思います。

そのため離婚すると決めたのなら、納得いく形で離婚できるようにまずは信頼できる弁護士さんを探すのが大切ですよ。

ポイント

“abogado divorcio internacional(弁護士 離婚 国際)”+自分の居住地で検索するといくつかの法律事務所が出てくると思います。

その中の何人かの弁護士さんと話をして、一番納得のいく人を選んでくださいね。



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裁判で決定されることは

夫婦間で離婚の条件で折り合いがつかない場合裁判で離婚の争点となるのは、親権や養育費や財産分与といったことが多いです。

以下にスペインでの一般的な裁判所の判断を紹介していきます。

親権と子どもとの過ごし方

子どもがいる場合の親権については、最近では父親と母親の共同親権になることが多いです。

そのために子どもは1週間や1か月交代で、父親と母親の家を行ったり来たりすることになります。

日本だと少し考えられないような状況ですが、共同親権になると子供が父親と母親両方に合う権利を守るために、ここ数年でぐんと一般的になってきているようです。

父親か母親のどちらかの仕事が不規則な場合などは、例えば普段は母親と暮らし週末や夏休みの間だけ父親と過ごすという判断もなされます。

また父親がそれに同意しない限り、日本人の母親が子供を日本に連れて帰る判決はまず出ません。

ポイント

父親に同意なく子供を日本に連れて帰るとハーグ条約違反で誘拐犯になってしまうので、絶対に避けるようにしてください。

養育費や共有財産の分割

子供の養育費はどちらか一方がメインで子供と暮らすことになった場合は、もう一方が支払うことになります。

金額は裁判所が収入などを考慮して決定します。

共同親権になった場合は、養育費専用の口座を共同で開き両親それぞれが決まった月額を月々そこに振り込んで子どものためにかかる費用にあてるようです。

またスペインでは婚姻期間中に築いた財産は、婚前契約で財産の分割をしていない限り夫婦で分割します。

不動産などの扱いは、売って分けるのか、とりあえず残してどちらかがそこに住みローンを一緒に払っていくのか等裁判で詳細を決定します。

ポイント

バルセロナ等カタルーニャ地方だけは、夫婦であっても財産は別々のものと考えられるので、財産分与などはありません。

慰謝料はあるの?

スペインには日本と違って離婚による慰謝料というのがありません。

日本だとどちらか一方が浮気をするとその配偶者が多額の慰謝料を請求できますが、スペインではそれができません。

ただ相手の不貞を理由に養育費や不動産をどうするのか等で、有利な交渉ができるかもしれません。

日本人からするとちょっと納得できないかもしれませんが、これはもう仕方がないです。

離婚後スペインに残れるの?

スペイン人と結婚すると配偶者としてスペインでの居住許可を得ることができ、これによってスペインで他のスペイン人と同じように生活することができます。

離婚が成立した後もスペインに残る場合は、配偶者としてではなく別のステータスでの居住許可を申請することになります。

仕事がある場合はとりやすいのですが、仕事がなくスペイン国籍の子供がいるというだけで居住許可が取れるかどうかは絶対大丈夫とは言い切れないようです。

在留許可の申請し直しは離婚が成立してすぐしないと最悪不法滞在者として国外退去になる可能性があるので気を付けてください。

在留許可については離婚とは別に移民のことに詳しい弁護士を通して申請する方が、すんなりと許可が下りることが多いです。

ちなみにまれなケースだと思いますが結婚後にスペイン人に帰化した場合は、そのままスペイン人としてスペインで暮らすことができます。

また子供の国籍も両親が離婚したからといって変わるわけではなく、22歳になるまでは日本とスペインの両方の戸籍を持つことができます。



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スペインで離婚が成立したら日本大使館に離婚届を提出

スペインで離婚が成立しただけの状態では日本の戸籍はまだ婚姻している状態になったったままです。

そのためスペインの裁判所の離婚の決定をもって、在スペイン日本大使館に離婚届を提出します。

必要書類は本籍地を変更するのかどうかで多少異なりますが、本籍地をそのままにしておく場合

■離婚成立後に日本大使館に持っていく書類

  • 離婚届
  • 戸籍謄本
  • 離婚の判決文とその和訳
  • 離婚が記載された結婚証明書とその和訳

概ねこられが必要です。

離婚したからといって、たとえ親権が100%スペイン人の元配偶者であっても子供に関する戸籍の記載は変わりません。

日本大使館はマドリードにありますが、地方に住んでいる方は郵送での手続きにも対応してもらえます。

スペインで離婚の判決が下りたら、まず最初に日本大使館に電話をして手続きについて指示を仰いでください。

またカタルーニャ地方にお住まいの方は、在バルセロナ日本領事館での手続きになるので、そちらにお問合せしてください。

まとめ

  • スペインの離婚は常に裁判で決定される
  • 夫婦間で合意した条件を提出する場合と徹底的に法廷で争う場合がある
  • 裁判の争点は親権や養育費それに共有財産の分割
  • スペインの離婚に慰謝料はない
  • 離婚が成立すると直ちに居住許可の再申請を
  • 離婚が決定したら日本大使館に離婚届を提出する

愛を誓いあって一緒になった夫婦とはいえ、結婚生活を続ける中ですれ違いが生まれうまくいかなくなってしまうというのはどこででも起こり得ることです。

修復できればいいのでしょうが、離婚する方がお互いのそれからの人生にプラスになるなら、別々の道を行くことを選ぶのはむしろ自然なことなのではないでしょうか。

最後にここで紹介したのはスペインでの離婚の手続きです。

ポイント

同じ国際結婚でもアメリカや韓国といったほかの国ではまた手続きが変わってくるので注意してくださいね。



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